正統とは何か?・・・。

stargherking2006-07-21

少し前の事になりますが、書店で『別冊 太陽スペシャル【柳宗悦の世界】』(平凡社)という雑誌が目に留まりました・・・。元々【柳宗悦】という名称(名前)は「オークション・ハウス」という漫画とか「CasaBRUTUS」という雑誌で目にしているぐらいで、どんな人物だったのか細かい所まで関心はありませんでした。

この【柳宗悦】という人物は一般的には美術評論家という事ですが、白樺派に参加したり、生活に即した民芸品に注目して「用の美」を唱え、『民芸運動民藝)』を起こした人物であった様ですし、朝鮮の陶磁器や古美術朝鮮の文化にも深い理解を寄せ、李朝美術(朝鮮王朝美術)の紹介や日本に【ウィリアム・ブレイク】を紹介した人物でもあった様です。

柳宗悦】の残した書籍(書物)の一つに『民藝四十年』(1958年-宝文館・1984年-岩波文庫)があります。西欧思想や西欧美学に没頭した人物達が興した「白樺派」は、ある意味「西欧かぶれ達」が興した芸術運動であると言えます。【ウィリアム・ブレイク】から始まった【柳宗悦】の『美(芸術、美学)』に対する探求(研究)は李朝美術(朝鮮王朝美術)という様式(形式)を媒介して日本における「無名の職人による民衆的美術工芸の美を発掘し世に紹介する」つまりは『民芸運動民藝)』というものに至ったとされています・・・。

また【柳宗悦】は「無事の美(平事の美)」「本来の美」、「奇数の美(不完全の美)」「貧の美(ワビ・サビの美)」「自在の美(未生の美)」「速刻の美(直観の美)」「閑相の美(閑けさやの美)」等という見識(見解)というものを経て、《「西洋の眼」では無く「日本の眼」に確信をもちなさい、それを世界に輝かせなさい》と言う言葉を残しています。この様に「日本の眼」を確認した【柳宗悦】は結局これらを総じて『無の美』と言える達観に到達したとされています・・・。

最近ネット・モーグル(季節外れですがネット・サーフィンの事ですw、トリノ五輪の時世だったので・・・)をしていて、気になった事(事象)に【マックス・ウェーバーマックス・ヴェーバー)】の『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(プロ倫)』と【フランシス・ベーコン】の『ベーコン随筆集』というものがあります。

マックス・ウェーバー】と【フランシス・ベーコン』については名称(名前)は知っている程度で細かい事はあまり知りませんし、もちろん『プロ倫』や『ベーコン随筆集』という書籍を今まで読んだ事はありませんでしたorz・・・。

ドイツの社会学者【マックス・ウェーバー】の『プロ倫』に関しては《営利優先の社会はやがて、「精神の無い専門人」と「心情の無い享楽人」を生みだす》という言葉が気になったからでありますし、『ベーコン随筆集』に関しては、最近気になった言葉に「Scientia est potentia(スキエンティア・エスト・ポテンティア)」という言葉があって、この言葉は英語表現における「Knowledge is power(知識は力なり)」という言葉に相当し、「Knowledge is power」という言葉がイギリスの哲学者【フランシス・ベーコン】の『ベーコン随筆集』の中にある言葉であるという点が気になったからです・・・。

私は「精神の無い専門人」というは【スタンリー・キューブリック】の『博士の異常な愛情』における【ストレンジラブ博士】、「心情の無い享楽人」というのは【ルイ・マル】の『鬼火』のおける主人公【アラン】の事なのかな?とふと思いました・・・。
知識(教養)」というものが、そもそも「何?」であるのか?、「知識(教養)」を備えた人間がどの様な行動及び言動をするべきか?私には解りません・・・。ロシアの作家【アントン・チェーホフ】は教養人の条件、すなわち教養ある人はどういう行動をとるべきかという事柄(事象)に対していくつかの言葉を残している様です。【アントン・チェーホフ】は自らの作品に対する基本的態度として《思想が形象を生むのでない。生きた形象が思想を生むのである。》という風に語っています・・・。

『別冊 太陽スペシャル【柳宗悦の世界】』を読んでいたらイギリスの作家【ギルバート・キース チェスタトン(G. K. チェスタトン)】の『正統とは何か](Orthodoxy)』という書籍(書物)についての言及といったものがありました。私は『ブラウン神父』シリーズ、『ポンド氏の逆説』『奇商クラブ』といった【G・K・チェスタトン】の作品は読んでいて好きな作家の一人として挙げているのですが、この『正統とは何か』いう作品は読んだ事がありませんorz・・・。
彼独特の逆説的発想と諧謔(ユーモア)溢れる文体で文明の危機と現代人の病理を予言したとされる古典的名著という事ですが、私は「正統」という言葉(事象)が大嫌いなので、この作品を垣間見る事が大変楽しみであります(微笑)・・・。