日曜日には鼠を殺せ・・・。

stargherking2006-02-12

『THE ASSASSINATION OF RICHARD NIXON』、邦題は『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』、ストーリーはタイトル通りリチャード・ニクソン暗殺を企てた男の話です・・・。今世紀最高の作品・・・。

主人公【サム・ビック】(Samuel Bicke、実際の人物はSamuel Byck)は名前とは違って「ビック(BIG)」な人間では無い、どちらかといえば「ピッグ(PIG)」な人間に思える・・・。彼は「ユダヤ系」のアメリカ人であるが「ユダヤ系(ユダヤ教)」に固執した生活は送っていない様に思える・・・。それに比べると彼の兄である【ジュリアス・ビック】は(Julius Bicke)ユダヤ教のラビの様な髭の感じから考えると「ユダヤ系」としての生活に誇りを持ち生活しているのではないか?と感じた・・・。

また主人公【サム・ビック】は同じ「ユダヤ系」アメリカ人の指揮者(作曲家)であるレナード・バーンスタインを敬愛していて理想の人物としている。彼はレナード・バーンスタインを世界で一番純粋で正直な人物と考えている。この作品ではレナード・バーンスタインの指揮によるベートーヴェンの最後のピアノ協奏曲であるピアノ協奏曲第5番 変ホ長調皇帝」を大々的に使用している。彼は自らの部屋で、このピアノ協奏曲第5番 変ホ長調皇帝」を始終聞いている・・・。
この作品は主人公【サム・ビック】のあの世での回想というものに思えました・・・。

主人公【サム・ビック】役の【ショーン・ペン】は最高です。【レオナルド・ディカプリオ】は爪の垢を煎じて飲め・・・。黒髪の【ナオミ・ワッツ】は美しすぎる(萌)・・・。【ドン・チードル】はフィリーズの帽子が良く似合いますね(笑)・・・。【ジャック・トンプソン】は『EP2』では良い人(クリーグ・ラーズ)だったのに(笑)・・・。強烈なインパクトだったのは【マイケル・ウィンコット】ですね、ネクタイの曲がり具合が絶妙です・・・。【ショーン・ペン】ですが最後の空港のロビーのシーンではコートの片襟だけ立てているのですが、こういう所が彼の凄い所なんだなと痛感しました・・・。

この作品を観て思ったのは【ベルナルド・ベルトルッチ】の『暗殺の森(Il conformista)』の事でした。この作品の原作はイタリア人の作家【アルベルト・モラヴィア】(父がユダヤ系)の「孤独な青年(Il conformista)」です。この作品の原題「Il conformista」を直訳すると「体制順応主義者」という風になります・・・。周りの状況(情勢)に「順応」してしまった男の悲劇といえる作品でした。自らの部屋で貪るようにTVの情報(NEWS)を観るリチャード・ニクソン暗殺を企てた男である【サム・ビック】は、TVの情報(NEWS)を鵜呑みにする生活の中で偽りの状況(情勢)というものに「順応」してしまったかのように思えました・・・。 
彼【サム・ビック】は「皇帝」になりたかったのでしょうか?、何かを忘れて何かを無くした男の話・・・。

この世は良くも無いし悪くも無い筈だ、この世が悪いのなら創った者(輩)に責がある筈だ・・・。

リチャード・ニクソン暗殺を企てた男リチャード・ニクソン暗殺を企てた・・・。

オルゴールが止まるように彼の人生は止まった・・・。